秋の郷土料理 秋刀魚寿司とは
和歌山県は紀伊の国と言われますが、お祭りや何か行事があれば、必ず寿司を作って楽しみます。
紀南の白浜地方では、魚寿司が多く秋祭りのころから正月には紀伊水道沖でとれる、脂分の少ない下りのさんまで作るさんま(さえら)寿司は、祝い事の席にはかかすことができません。柚子やだいだいなどの柑橘類をたっぷりきかし、作ります。
他には、かますの姿寿司や季節ごとに、小あじの寿司、きびなごの寿司、いわしの寿司、太刀魚の寿司、さばの棒寿司、若芽の寿司と地元の海でとれる旬の食材で寿司を作るのが当地方の楽しみです。
富田川、日置川のそばでは、鮎の姿寿司もよく使われ、川の上流地域では、柿の葉寿司、わさびの葉を使った葉わさび寿司、野いちごの葉のおすしと、地元でしか味わえない逸品。
秋の郷土食材
あおりいか
あおりいか
9月~12月 釣りたての身の透明な、大きさ500g~1kgまでのものを食べると身もやわらかくやみつきになる。大きい物は釣りたては身が硬く一日おいたくらいの方がおいしい。
下足は塩焼き、唐揚げバター焼きとえんぺらは糸造りと地元では夕暮れからの釣りになるので夜遅くまで釣ってしまい、釣れる日はつい寝不足になってしまうが、釣れたては夜遅くなっても食べたいおいしさである。
太刀魚
春の太刀魚もおいしいが秋口の太刀魚も絶品である。 さしみに酢の物に、また焼いても煮ても卵をたっぷりもっているので旬を味わえる幸せである。
わたりがに・オス
夏まではメンガニの方が卵をもって味噌も詰まっているので好まれるが、夏過ぎからは身の甘みもありおいしいオスガニの方が好まれるこの時期はオスガニを食べる方がおいしさを味わえる。
しび子(本まぐろの子)しお(かんぱちの子)
秋口になると紀伊水道ではかんぱちの子供で”しお”、また、まぐろの子供で”しび子”が良く釣れる。どちらも脂ののりは良くないが地元でも、この時期の食通の楽しみの食材である。
ぼらのからすみ
10月ボラの卵巣をたっぷり塩をしてから時間をかけて干して作る。わかりやすくいえば卵巣の干物。9月中旬位から10月中旬頃まで、ボラは腹いっぱいに卵巣を膨らましている。ボラの身は二束三文の値打ちだが、からすみになると超高級品となる。
ボラの卵は非常にきめが細かく味はチーズのようにもっちりとした感じで、酒の肴には絶品である。
白浜ではこの時期にからすみ作りが行われ、からすみの旬の時期である。
バリコの干物
11月~1月 手の平くらいまでの小さいものを干物にして、焼いて食べると、骨の部分までみんな食べられて、大変に美味しい。バリコは学名はアイゴといい、背びれと腹びれに毒を持っているので刺されるとかなり痛い。うろこもなく、背開きにして干物にする。大きいのはアイといい、これも一夜干しにして食べると、これもまた、おいしい。
もどりがつお
9~10月 かつおは回遊魚で、太平洋を大きく回遊しながら一生を過ごします。春、紀伊半島沖を黒潮にのって北上し、北海の豊富なエサを食べ脂肪分と旨味をいっぱいたくわえ、丸々と太って秋に南下してくる(戻りがつお)ところから秋のもどりカツオと言う。
くつ海老・伊勢海老・ぞうり海老
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9~12月 地元の伊勢海老漁は秋に解禁となるので、この時期の本物を食べていただきたい、また海老網にかかる、くつ海老ぞうり海老は伊勢海老に比べても水揚げは極端に少なく、最近は伊勢海老よりも人気が高い。